レーザー手術について
①後発白内障治療レーザー
後発白内障とは白内障の手術が終わった後に生じる目の中の混濁によりかすんだり視力が低下する状態です。
白内障手術の時に目の中に入れた人工のレンズはほぼ一生濁りませんが、レンズを支えている袋は自分の体の組織なので、この袋が濁ると視力が低下します。
後発白内障治療レーザーは濁った袋の一部に穴をあけて、光の通り道を作ることができます。
- 濁った袋にレーザーで少しずつ穴を開けていきます。
- 丸く穴が開きました。これで光が遮られずに目の奥まで届くようになります。
■手術の概要
点眼麻酔後、座ったままの姿勢で約5分間YAGレーザー光線を照射します。
痛みはほとんど感じません。
■手術の必要性と手術をしないときの経過予想
自然治癒は期待できず、薬物治療も無いため、視機能障害を改善させるためには手術が必要です。
このまま放置しても急激に症状が悪化することは少なく、手術に緊急性はありません。
■手術後予想される経過
①ほとんどの場合、一回の手術で治療が完了しますが、稀に再発し、追加の治療が必要となることがあります。
②体質的に網膜が弱い方の場合、網膜剥離を起こし、転院の上、処置が必要になることがあります。
③体質的に眼圧が上昇しやすい方の場合、眼圧上昇を認め、点眼加療等の追加の治療が必要となることがあります。
■手術の費用
3割負担の方 4,140円
2割負担の方 2,760円
1割負担の方 1,380円
他に診察料、検査料がかかります。
※生命保険等にご加入の方は、給付金支給の対象になる場合があります。
上記手術名をご担当の保険会社営業職員にお伝えください。
白内障の手術を受けた後、見えにくさが出てきた場合は後発白内障の可能性がありますのでご相談ください。
②網膜剥離予防レーザー、糖尿病網膜症治療レーザー
網膜をレーザーで凝固することにより網膜に開いた穴が広がらないようにして網膜剥離に進行しないようにしたり、糖尿病網膜症の悪化を食い止めたりします。
- 赤いマークが通ったところが白い点状に変化しています。レーザーで網膜を熱凝固しています。
網膜剥離予防レーザー
網膜剥離予防レーザーでは網膜に開いた穴を堤防のようにレーザーで囲い、穴が広がらないようにします。
■手術の目的
裂孔周囲の網膜を熱凝固させ、網膜剥離の発生・拡大を防止すること。
■手術の概要
点眼麻酔後、座ったままの姿勢で約5分~10分間レーザー光線を照射します。
照射中は頭にズンとした痛みを感じることがあります。
■手術の必要性と手術をしないときの経過予想
このまま何もせず放置すると、網膜剥離が発生・拡大し、最悪の場合、失明するおそれがあります。
■手術後予想される経過
①通常1~2回程度で治療は終了しますが、将来の網膜剥離は発生を100%確実に防ぐことは出来ません。
病気の勢いが強い場合、より高度な治療設備のある医療機関をご紹介させていただくことがあります。
②異物感、まぶしさ、充血などは通常数時間~数日以内に軽快します。
③ごく稀に、網膜に新たな裂孔の形成や硝子体出血を起こし、追加の処置が必要となることがあります。
■手術の費用
会計窓口でお支払いいただく一連の(1~2回)おおよその手術料金
3割負担の方 30,000円
2割負担の方 20,000円 ※保険証の種別により
1割負担の方 10,000円 お支払いが減額されることがあります。
※保険証の種別によりお支払いが減額されることがあります。
右、左、それぞれの目の初回治療日に上記金額を請求させていただきます。
検査料、薬品代などは別途お支払いいただきます。
※生命保険等にご加入の方は、給付金支給の対象になる場合があります。
上記手術名をご担当の保険会社営業職員にお伝えください。
糖尿病網膜症治療レーザー
糖尿病網膜症治療レーザーでは網膜の広い範囲にレーザーを打つことで網膜症の進行を停止させます。
■手術の目的
網膜症の進行を抑え、失明につながる血管新生緑内障の発症を防止すること。視力回復を目的とした治療ではありません。
※レーザー手術を行っても糖尿病網膜症の進行100%完全に防ぐことは出来ません。
■手術の概要
点眼麻酔後、座ったままの姿勢で約5~10分間レーザー光線を照射します。
照射中は頭にズンとした痛みを感じることがあります。
■手術の必要性と手術をしないときの経過予想
このまま何もせずに放置すると、増殖硝子体網膜症、血管新生緑内障に至り、失明することが予想されます。
■手術後予想される経過
今までの糖尿病の状態により経過は大きく変わります。追加治療をせず長期間にわたり網膜症の進行が抑制される場合もあります。網膜症進行の勢いを止められず、追加レーザー手術、薬物治療をする場合もあります。高度な設備を備えた病院に転院して硝子体手術などをお受けいただくこともあります。
■手術後、起こりうる合併症
①視力が低下したり、多少暗く感じたりするようになります。
②網膜の中心(黄斑部)にむくみが生じ、視力が大幅に低下することがあります。
(今まで糖尿病コントロールが不良な場合起きやすくなります)
③ごく稀に、網膜に裂孔を形成したり、眼内に出血を起こしたりすることがあります。
④異物感、まぶしさ、充血を生じることがありますが、通常数日以内に軽快します。
■術後の費用
会計窓口でお支払いいただく一連の(1~2回)おおよその手術料金
3割負担の方 50,000円
2割負担の方 32,000円
1割負担の方 16,000円
右、左、それぞれの目の初回治療日に上記金額を請求させていただきます。
その他、診察料・検査料がかかります。お支払いにはクレジットカードがご利用いただけます。
※生命保険などにご加入の方は、給付金支給の対象になる場合があります。
上記手術名をご担当の保険会社営業職員にお伝えください。
③緑内障治療レーザー(SLT)
緑内障は眼圧が高いことが原因で進行する病気なので、眼圧を下げることが治療の目的になります。
緑内障の治療は他には点眼、観血的手術があります。
点眼は比較的侵襲(体への負担)が少ない治療ですが、点眼を忘れてしまうとその間は眼圧が高い状態になり緑内障が進行するデメリットもあります。
観血的手術は最も侵襲が大きい治療法で点眼やレーザー治療を行っても眼圧のコントロールが不良の場合、もしくは視野の悪化が進行する場合に選択されます。
レーザー治療(SLT)は侵襲は点眼よりは大きいですが、一度行うとある程度の期間(半年~2,3年)効果が持続するので、その間は眼圧のコントロールが良好な状態をキープすることができます。
■選択的レーザー線維紐帯形成術の効果と方法
レーザー治療(SLT)はの有効率は70%程度と報告されています。眼圧の下降効果は個人差はありますが、点眼薬1~2本分程度と考えられます。
房水の排水溝の入り口に線維紐帯という網目構造があります。線維紐帯に老廃物等が沈着すると房水が排出される際の抵抗になるため、ごく弱いレーザーを線維紐帯に照射し、生体の免疫反応を刺激することで老廃物を除去(免疫細胞による貪食)します。
点眼麻酔を行い、レーザー治療時間自体は10分程度です。
レーザーによる痛みはほぼありませんが目にレンズを乗せるので違和感を感じる可能性はあります。
治療中は安全のため目や体を急に動かさないでください。
- 赤いマークが狙っている焦げ茶色の帯状の部分が目の中の水の排水溝です。時折、泡が出るときがありますがその時にレーザーが出ています。ごく弱いパワーのレーザーで撃たれた部分の構造的変化はなく、痛みもほとんどありません。
■選択的レーザー線維紐帯形成術の合併症
目に乗せるレンズを治療中回転するので術後しばらくは見え方が術前よりぼやけることがあります。1時間ほどで自然に改善ことがほとんどです。
ごくまれにレーザー後眼圧が著しく上昇することがあります。その場合最終的に手術が必要になる場合があります。
■費用
3割負担の方 28,980円
2割負担の方 19,320円
1割負担の方 9,660円
他に診察料等が若干かかります。
■外来手術給付金
選択的レーザー線維紐帯形成術は手術に該当します。ご加入の生命保険によっては外来手術給付金が適応されることがありますので保険会社にお問い合わせください。
その際に必要なコード、手術名は「K273 隅角光凝固術」です。